和歌山大学発、超高速&超精密で形状を測定する。" />

REAL TECH FUND

【4Dセンサー株式会社】
和歌山大学発、超高速&超精密で形状を測定する。

2016.06.03
TwitterFacebookHatena

世界初のパソコンによる画像計測装置を開発

永田はじめに4Dセンサーとその技術についてわかりやすく教えて下さい。

森本はい、当社はモアレを利用して物体の形状や変形を計測するカメラを開発しています。

モアレとは、すだれのような格子を2枚重ねた時に現れる縞模様(しまもよう)の事です。

この模様は印刷やディスプレイでも発生し、これを消す方法の研究もされていますが、当社はこのモアレ縞を独自の方法で解析する事で、物体の形状や変形を超高速かつ超精密に測定するカメラを開発しています。

永田森本会長は以前からモアレを研究されていたのですか?

森本大阪大学で機械工学を学び、モアレや光弾性などの光学的方法で材料の強度を調べる研究をしました。

最初に就職したのは小松製作所でした。
そこで6年間は油圧の研究をしていましたが大学の方から戻って来るように言われて。
再び、大阪大学で光学的方法で材料力学を研究することになったんですね。

当初、手動でモアレや光弾性やホログラフィの干渉縞を解析していましたが、そのうち、コンピューターで縞画像の高精度な計算が可能になったので、世界初のパソコンを使った画像計測装置を開発しました。

その後、和歌山大学で工学系学部を作ることになり、その準備に和歌山大学に移ることになりました。

その後無事設立した和歌山大学のシステム工学部で、私の研究が進み、種々の新しい方法を開発しました。

ph02永田それが4Dセンサーの原点なんですね。柾谷さんと知り合ったのもその頃ですか?

森本開発した研究成果を実用化するため、新しい原理の形状計測・変形計測装置を作ろうと技術者を募集したところ柾谷さんが応募して来てくれました。

柾谷さんは学生だったんですか。

柾谷ドクターコースの学生ではありましたけど、もう働いていました。

当時はメーカーで画像処理を研究していましたが、実際にはプリンターの修理に忙殺されていました。

その時、和歌山大学の画像計測の新しいプロジェクトの話を聞いたのがきっかけで応募したんです。

メーカーでは画像処理の研究ができなかったんですか?

柾谷はい、修理しなければならないプリンターの量があまりに多いのです。(キッパリ)

それ違いますよね、やりたい事とね、博士としては。
俺の画像処理はどこに行ったんだと。

ph03柾谷まあそれで、非常に面白そうなプロジェクトでしたので、二つ返事で決めました。

永田そのプロジェクトがきっかけで4Dセンサーを創業したのですか?

森本はい、当時は大学も独立行政法人化で、先生は自分でプロジェクト予算を取らなければならなくなりました。

私のグループは毎年のようにプロジェクトを取っており、柾谷さんがきてプロジェクトの成果が多くでました。

また、私は定年が過ぎても大学で理事/副学長をやっていましたが、任期切れで辞めることになり、今まで研究してきた成果を実用化させるため、ベンチャーをつくることにしました。

永田4Dセンサーのテクノロジーを著しく進化させたのは柾谷さんが入ってからなんですか?

森本リアルタイムで形状を測定する装置は2000年に私が作っています。

これを定量的にきちんとデータ解析をしたのは柾谷さんが来た頃ですね。

彼の研究開発で計測精度がミクロンからサブミクロンまであがりました。

コンピューターや画像処理技術が組み合わさったことで精度が上がっていったのでしょうか。

森本はい、柾谷さんの専門の画像処理技術とコンピューターの処理能力が上がったことは解析の精度と速度を飛躍的に向上させましたね。


日本の全数検査の技術を世界標準へ

永田柾谷さん、社長として経営課題は何でしょうか。

柾谷開発人材の採用ですね。

現在は限られたメンバーで営業しながら同時に新しい装置の開発をしているんです。

新しい装置はリアルタイムで超精密な形状計測ができるシャドーモアレカメラです。

電子部品のような精密な物質の計測をリアルタイムに行う事で、製造工程における全数検査が可能になります。

助成金などを獲得して、開発メンバーを採用することで事業が拡大できます。

ph04是非、一緒にやりましょう。

全数検査を行う事はメーカーの強みになる。

これからインダストリー4.0になって全数検査の仕組み自体が当たり前のスタンダードになった時、4Dセンサーの技術は日本発のテクノロジーになって行くと思います。

永田そうですね。

世間はすぐに日本でグーグルとかアマゾンを作ろうと言うのですが、それよりもこのテクノロジーが鴻海や世界の製造業に採用されて、4Dセンサーが無かったら歩留まりが悪くて困るという状況になるほど、根本のインフラをぎゅっと押さえちゃうのが日本としてのあるべきやり方かなと思います。

4Dセンサーの技術は精密部品の検査以外にどんな産業がどんな場面で使うことができますか?

森本最近開発した新しい方法で一枚の画像で位相解析ができるようになりました。

それを用いて、動いている物体の形状や振動している物体の変形を調べることができます。

振動している物体の変形を計測する場合、普通は一点だけレーザー変位計をつけてそこの時間変化を見るのですが、我々の新しい技術を使えば全面の分布が一度に分かります。

これは他では無い方法です。

柾谷具体的な対象物はエンジンですね。

今までは一点でしか計測できていなかった、あるいは、なんらかのマーカーを付けた部分の計測だけをやっていたのが、面全体の振動の様子が計測できると言うことで、自動車の騒音対策や建物やインフラなどの検査に使えると思っています。

永田NEDOでJR西日本コンサルタンツと取り組んでいるプロジェクトはどう言う内容ですか。

柾谷JR西日本コンサルタンツとやっているプロジェクトは大型インフラの変形計測です。

橋梁などの大型インフラに格子パターンを貼り付けて変形を計測する方法です。

同様の方法で崖に格子を印刷した杭を設置して、遠方からそれを監視して崖崩れの予兆を診断することもできます。

ph05森本格子を描くのも簡単なもので出来ます。
例えば我々は計測用のガムテープを作っています。

それを貼ってカメラで撮影するだけで、地滑りの予知にも適用できます。

全然動かなかったのが0.1ミリと言うオーダーで動きが出てきます。
それが地滑りの一週間くらい前の兆候です。

さらに1ミリのオーダーになってきたら一日前くらい、2ミリ、3ミリと増えてきたら数分で滑り落ちますよということが診断できる。

アメダスじゃなくてガケダス。

永田御社の技術を説明すると、変形の計測と、形状の計測に分かれています。
変形に関しては構造物や自然環境物に対して格子を貼り付けてそれを時系列に変形を読み取る。

それによって将来予想される自然災害を回避するとか人工物のゆがみを見ていつ修理をすればよいかが分かる。
人間が時間と手間をかけてやっている事を遠くから見ているだけで分かるようにしましょうと。

形状に関しては、一つは、リアルタイムで高速に物体の形状を測定する事が可能で、電子部品などが対象ですね。
量産されている電子部品の形状に欠損が無いかをモアレで高速かつリアルタイムに計測が出来るのですね。
今後の研究開発はどの分野をお考えですか?

森本当社の技術は様々な分野への応用が可能です。
例えばですね、人体の動きを計測するモーションアナライザーはボールを関節につけて数点を見ているだけなんですよね。

我々の技術を使えば、全面の筋肉の太さの違いまで分かります。
オリンピック選手の強化となると筋肉がどう発達してきたかという解析も必要になる。
そうなると我々の技術が必要となってくるかもしれません。

それは計測するのに費用はかかるのですか。

森本装置は殆ど出来上がっていますので、人体に適用すればいいのです。
我々の技術を使えば水中でも寸法を正確に計測できます。


大学での研究は売ることが目的ではないが、
売ることを意識した研究をした方がいい

永田最後に是非、ベンチャーキャピタル嫌いな会長から一言。

なんで嫌いになったのですか。

森本ベンチャー業界を知りたくベンチャー学会に所属していたのですよ。

そうすると、ああいうところでは目立った話ばかり出てくるのですよ。

目立ったことは悪いことも多いので、ベンチャーファンドで酷い目にあった人の話とか。
そうするとまず気を付けなくてはいけないなと頭の中に刷り込まれています。

結果、どう付き合ったらいいのかわからずにいました。

ph06永田それは正しいです。
アラートが出るのは大切なことだと思います。

森本自分でベンチャー起業をやってみると想像以上に苦労するんですよ。

これをちゃんと指導してくれる人がいたら随分無駄が省けます。
それをわからずに暗闇の中を手探りで歩いていました。

今回リアルテックファンドの方には的確に教えてもらって助かっています。

永田そんなベンチャーキャピタル嫌いの会長が、リアルテックファンドだったら引き受けても良いかなと思ったのは「人」の部分ですか?

森本人と会社の両方だろうと思います。

あるベンチャー雑誌の編集長と会ったのですが、
「良いベンチャーキャピタルを掴まれましたね。心配ばかりしてないで、ユーグレナさんならしっかり支援してもらいなさい」と。

良いベンチャーキャピタルはしっかり掴まって行かないとだめですよということですね。

永田研究所や大学の中にいる人たちにコメントするとしたらどんな事をお伝えしますか。

ph07森本大学で研究したことは社会に役立ててほしい。

私もそうですが、自分は大学で論文は沢山書いてきました。

大学の教育には役に立ったでしょうが、実際に企業で使ってもらっているのはわずかなのですよね。

その技術を開発している時はもっと使えるはずだと思っていたのに使われていない。
結局は自分がやらんといかんのです。
それでベンチャーをやろうという事になりました。

全ての研究者、教員がそういう事を考えながらやれば無駄がなく進んで社会に役立つ物ができるのではないかと。

そういう意味では、皆さん自分のやっている研究を具体的に社会に役立ててもらうためにはどうしたらいいのか、自分がやらないなら誰かにベンチャーをつくってもらって、そこで開発を進めるような体制まで考えた研究をやった方がいいと思います。

柾谷大学での研究は売ることが目的ではないのですが、売ることを意識した研究をした方がいいと思います。

もう一つは特許ですね。特許を活用してお金を得ることを考える。

後々自分の研究費にかえってきます。

永田売れるという事は、お金を払う人がいるという事で、誰かの役に立っているという事だと思います。

売れる事を目的とした研究は誰かの役に立つものを作って行きましょうと言うことと同義だと思っています。

私たちリアルテックファンドの根本的な考えがそこにあるので、今日はそう言うお二人にお話しを聞けて良かったと思います。
ありがとうございました。

TwitterFacebookHatena