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【株式会社 人機一体】
人型重機で人間を肉体的苦役から解放する。

2016.05.12
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悩みながらたどり着いた、
ロボット研究の道。

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永田人が自分の身体の延長、物理的な道具として直感的に操作できる人型重機を開発する株式会社人機一体(以下、人機一体社)ですが、まず初めに、社長である金岡博士のバックグラウンドを教えていただけますか?

もともとロボットに興味がおありだったのですか?

金岡子供の頃は、「勉強」や「ロボット」を特別好きでも嫌いでもありませんでした。

ただ、自分は理系の人間で、サイエンスの道に進むだろうとは、なぜか根拠もなく信じていたように思います。

ロボットに対する特別な思い入れも無かったので、大学では化学工学科に入学しました。

さらに大学院では同じく化学工学専攻ですが、界面活性剤の分子集合体設計という有機化学寄りの研究をしました。

つまり、ロボットとは全く違う道を歩んでいました。

どうしてロボットの研究を始めたのですか?

 

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金岡大学、大学院、就職へとステージが進んで行く中で、岐路に立たされるたびに悩みながら選択を繰り返していたら、気が付いたらロボットの研究をしていたというのが正直なところです。

大学で配属された研究室で、石油プラントの蒸留プロセスなどの高分子化学反応を制御する「プロセス制御工学」という学問を学びました。

その時に初めて「制御」という概念を知って、これは面白いと思った。

その後、大学院もいよいよ修了という時期になって、改めて自分は何をしたいのか考えたとき、この「制御」をもっと学んでみたいと。

ただ、修士課程までやってきて、自分に化学は合っていないと思いました。

自分に合っていると思える分野で「制御」を活かせるところを探し、「ロボット制御工学」に辿り着きました。

そこで専攻を変えるために就職を止めて博士課程に進学し、ロボット研究の道に足を踏み入れることになりました。

アトムやガンダムといったフィクションの影響を受けてロボット分野を目指したというのではなく、化学工学の「制御」という関心からロボットの道に進まれるというのは面白いですね。


自分が感じていた違和感を
解消するために起業した。

ph03永田大学の研究室にいながら、どうして人機一体社という会社を作ろうと思ったのですか?

金岡博士課程を出た後、教員として立命館大学に就職しました。

学生を指導しながらロボットの研究を続けていたのですが、しばらくロボット研究の世界に身を置いていると、だんだんその世界の雰囲気が分かってきます。

分かってはくるのですが、私はその雰囲気に、必ずしも馴染めなかった。

ロボット研究そのものは自分に合っていると思えたし、面白かった。

でも、分野全体に通底する思想のようなものに対して「何かが違う」という違和感が拭えなかった。

例えば、ロボットというと自律ロボットで、如何に人間を排除してロボットに自律性や知能を持たせるか、という課題設定が主流ですが、そこには大きな違和感を持たざるを得ません。

今あるロボットは、真の姿では無いと。

 

ph04金岡基礎研究としてならば様々なアプローチがあって当然だと思います。

単純に良し悪しを判断できないでしょう。

しかし、実社会の工学としては、真に人の役に立つロボットを作るべきです。

永田人機一体社が目指す人型重機は、人間の行動範囲や力学的機能を拡張できる。

これは結果的に、高温下の作業や重量物の運搬など危険な苦役から人間を解放することに繋がりますよね。

金岡私の違和感を解消するためには、研究だけではなく、私が考える「ロボット」を実際に作り、社会実装することが必須だと痛感しました。

それがベンチャーを立ち上げた理由ですね。

我々のロボット技術を使えば、人だけでも機械だけでもできないことを、人と機械の力学的な相乗効果で達成することができ、道具として人の役に立つ「ロボティックツール」を実現できます。

さらにそれを、試作機としてだけではなく皆が使える製品として社会実装するためには、会社という組織が不可欠です。

ph05短期的な成果が求められる今の社会では、大学においてさえ、研究開発に5年、10年をかけることが難しくなっている。

その中で、人機一体社のような「この研究は長期的に取り組む社会的課題だから、会社という形でやるぞ」という動きは、非常に頼もしく思います。

永田10個の研究プロジェクトがあれば、10個すべてが成功しなければならない、というのが基本的な国の制度です。リスクを取ることは難しい。

一方で、私たちのようなベンチャー・キャピタルは、10社のうち1社が大成功すれば良い。

会社をつくることで、リスクを取れる人やお金が集まってくるというのはありますね。

 


ロボットを使って、
人間の可能性を拡げたい。

ph06永田人機一体社が研究開発しているテクノロジーについて簡単にご説明いただけますか?

金岡ロボット=自動・自律と捉えられているからか、「ロボットを操作する」という概念は、これまであまり深く考えられていませんでした。

みなさんが目にするロボットアニメでも、操縦や制御の仕方はすごく曖昧です。

我々はこの概念を深く追及して、ロボットの世界にパラダイムシフトを起こしたいと思っています。

そのための基盤技術が、我々の持つ独自の「パワー増幅マスタスレーブシステム」です。

永田マスタスレーブの技術は、「思った通りにロボットを動かせること」だと思っているのですが正しいでしょうか?

ph07金岡はい。一般的には正しいと思います。

しかし、我々のマスタスレーブシステムにおいては必ずしも正解ではありませんね。

どういうことか、ご説明しましょう。
「思った通りにロボットを動かせること」を一般的なマスタスレーブの文脈で解釈すれば、「人が思い通りに動き、その人体の動きをロボットが忠実にコピーして動く」ということになります。

ここでは、確かにロボットを思い通りに動かせるでしょう。

しかし、ロボットの動きはあくまで人の動きです。ロボットの動き方は、人体の動き方に置き換わります。ロボットの動き方が人体と同じであればそれで良いのですが、我々が考えるような巨大な人型重機であれば、慣性だけを考えても、人と同じように動けるはずもありません。

そこで我々は考えを変えました。
我々は、ロボットの動き方を消去せず、人体の動き方と重ね合わせます。

人とロボットを一つの力学系として、すなわち一体として扱うことで、「人が、あたかもロボットの体を自らの身体の一部・延長であるかのように感じ、人体とロボットを一体として操作する」ようにしました。この技術を使うと、慣れない間はむしろ「思った通りにロボットを動かせない」でしょう。

しかし、人の身体操作スキルを侮ってはなりません。

練習を重ねて人が操作に熟練した暁には、巨大人型重機を、巨大人型重機の動き方に応じて、正に手足のように思い通りに動かせるようになるはずです。

社名の通り、まさに「人機一体」ですね。

人間に出来ることが増えるし、ロボットを動かす人間が成長することで、社会が発展する。

ph08永田ロボットがいれば人間は必要なくなる、という考え方とは真逆ですね。最後に、人機一体社が実現したい未来について教えてください。

金岡我々は、人間の可能性は無限だと思っています。

もちろん、人間が機械に及ばないところも沢山ありますが、だからと言って人間の価値は絶対になくならない。

そもそも、人間とロボットやコンピュータを比べること自体が間違っている。

機械が発達しても、人間の可能性が奪われることはありません。

むしろ機械の能力を手にすることで、人体の制約を超えて、人間の可能性をどこまでも高められるようになる。

我々は、機械の能力をロボット工学技術を駆使して万人が使えるようにすることで、世界からフィジカルな苦役を無用とし、世界を今よりも幸せな場所にしたいと思っています。

一番分かり易いのは、人機一体社の人型重機を使って、災害現場など危険な場所での作業や重作業を減らせることですね。

そうすると、人間の苦役が減って、人の良いところが表に出てきますよね。

永田人機一体社の人型重機を自分たちが体感できる日が本当に待ち遠しいです。これからも宜しくお願いします。

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