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【Real Tech キャリアデー】ベンチャーに転職して変化したことは?転職経験者たちが語るベンチャーの魅力とその実態【後編】

2020.03.16
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中編はこちら

昨年12月1日に行われたReal Techキャリアデー2019。登壇されたのはAMI株式会社の神尾氏、株式会社ニューロスペースの北畠氏、そしてかぶ株式会社チャレナジーの水本氏の三人。モデレーターはリアルテックファンドの永田が務めました。中編では、会場からの質問にお答えしながら、ベンチャーのフェーズごとの実態、ベンチャーだからこそ可能な働き方やその魅力と喜び、そしてその裏にある苦悩について赤裸々に語って頂きました。最終回となる後編では、収入についてのリアルな事情、大企業にいたからこそ活かせた視点やこれから転職する方へのメッセージを熱くお伝えしていきます。


世の中に対して一番貢献できる選択をした

永田:さて、会場の方からたくさん良い質問をいただいていますのでここからはそれにお答えしていこうと思います。

「自分で起業しようとは考えなかったんですか?」という質問なんですが、三人の中でちょっとでも考えたことのある方はいらっしゃいますか?

(水本氏のみが挙手)

北畠:起業するつもりはありませんでしたが、起業することへの漠然とした憧れぐらいはありましたね。

永田:憧れはあったのに起業することを選ばず働くことを選んだ理由はありますか?

北畠:社会課題の解決は、ビジョンを持っている人だけでも、数字を分析している人だけでも実現できないですよね。人によって一番輝ける立ち位置も違いますし、課題に対してチームで成し遂げられる要素もあると思うので、自分自身の立ち位置を考えた時に、起業せず働くことが世の中に対してもチームに対しても貢献できると思ったことが今ニューロスペースにいる理由ではあります。

永田:なるほど。逆に起業することも考えていた水本さんはいかがですか?

水本:私の場合、起業しようと思った時にいろいろなアクセラレータのイベントや起業家のイベントに行ったんですが、良いチームメンバーを集めることへの難しさを感じました。良いメンバーとお金を集められる人って一握りの人なんじゃないかなと僕は思ってしまったんです。うちの清水はやっぱりカリスマ性みたいなものがあると感じていて、彼のところに物やお金が流れてくるということは人間性の面で違いがあると思いました。僕はそういう人を応援して一緒にやっていく、彼のやりたいことをアクセラレートしていくことが僕のやりたいことだと思ったので、起業せずチャレナジーにジョインして一緒にやっていこうと思いました。

永田:ベンチャーも世の中に何百何千とあって私はそれらを見てきましたが、起業は誰でもできるけど、「世界を変える起業家」はほとんど存在しないなと思います。「世界を変える起業家」自体が一つの職業ですね。

水本:そうですね、何をやりたい、何をなしとげたいかという点を見ていったときに自分で起業するよりもチャレナジーに入ったほうがよりスピーディーによりインパクトの大きい事業ができるなと思ってこちらを選択しました。


大企業出身だったからこそ活かせた視点

永田:次に多かった質問が、「大企業出身だったからこそ活かせる視点はありましたか?」というものでした。神尾さんからお答えして頂いても良いでしょうか。

神尾:大企業出身者だと、ビジネスマナーやお作法的なものは身についていると思うんですよね。AMIは医療従事者が多くて、普通の会社で働いたことがない人がたくさんいるので、マナーや仕事の進め方に関しては大企業との違いを如実に感じる部分はあります。

水本:今僕は事業開発や営業をやっているので、大企業とは出資や事業連携といった内容についてお話することが多いのですが、大企業ならではの仕事の進め方や決済の取り方などは中にいたからこそ分かるので、どのような視点やタイミングで情報を提供すればいいのか等は感覚的にわかりました。例えば、何月までに決済が欲しいという状況になった時に、ベンチャーだと1カ月とか2週間で議決が出るものでも大企業だと4カ月ぐらい時間がかかる。なので、早め早めに打ち込んでいった方がいいとか、そういうアドバイスはできますし、大企業にいた時の視点は今活かせていると思います。


収入も自分次第、それがベンチャーの世界

永田:実は、一番母数の多かったのが「収入は減りましたか?そのことへの不安はありませんでしたか?」という質問でした。これについては皆さんいかがでしょうか?

神尾:リアルに収入は減りましたし、不安もありました。ですが、下がった収入を上げていくこともベンチャーならできることですよね。自分が頑張れば自分の収入を上げられる、そういう世界ですので。

北畠:私も激しく減りました(笑)ただ、そこに対する不安はあまりありませんでした。もしニューロスペースが明日潰れたとしても食い扶持に困るということはありませんし、どこかになんらかの仕事はありますしね。それにベンチャーだと報酬を自分達で伸ばしていけるだいご味もあります。ただ、妻からは収入の心配はされました。そこには丁寧な説明が必要になりましたね。

水本:私も減りました。ただ劇的に減ったわけではなかったです。うちは共働きでもあったので大丈夫でしょうという形で何とか説得して入りました。僕はベンチャーがどうやって給与設計をするかというところまで関わってやっていますが、年功序列のようなルールはなく、業績が上がれば報酬も上がるし、業績が下がれば報酬も下がるというリアリティのある世界です。なので「報酬って何だろう」ということをすごく考えるようになりました。自分の業績はその報酬と見合っているのかと。収入を増やしたかったら自分がもっとアウトプットを出していくしかないですね。

永田:報酬設計に関しては、2000年代のテックベンチャーですと給料は全員で苦しんでなんとかしようとする所が結構多かったのですが、最近の傾向としては、絶対入ってほしいキーパーソンをどのように業界から連れてくるか、という部分を軸とした報酬設計になっている所が増えていると感じています。それは逆説的に、その業界においてスペシャリティを持っているということが価値になるということですよね。将来に対する不安を少なくする最強の方法は、この業界におけるスペシャリティをいかに上げるかだと思います。何が本当に将来に対する安心材料なのかは今とても変わってきていますよね。私たちが子どもの時は採用がなくなるなんて誰も思っていませんでしたから。どの船に乗るかよりも、どの船の中で力をつけるかのほうが今はより重要視されていると思います。


上場は世界を変えるためには必要不可欠

永田:さて、皆さんは上場を目指していますか?そういうイグジットを目指していますか?

なぜ上場を目指すかという理由はありますか?

北畠:睡眠は人類にとって普遍的なテーマなので、誰しもが根源的に必要としていることであり、潜在的にたくさんのニーズがあると思いますし、当然グローバルにも出ていきたいと思っていますので、きちんとしたプレゼンスを出していくという点で、上場は一つの通過点として必要かなとは思います。

水本:今開発している風力発電機はまだ小型のものです。これから気候変動の問題や再生可能エネルギーが求められていく中で我々ももっとスケールアップしていかないといけないし、もっと大型の風力発電機を作っていかないといけない。やはり開発資金が必要になるという点では上場して、研究開発の方にどんどん投資していきたいです。そして大型機の風力発電機を作り、さらにエネルギー自体の課題に対してアプローチしていこうとしています。例えば水素エネルギーを作っていくとかですね。より大きなエネルギーのイシューにアプローチしていくためにはやはり資金が必要になりますね。エネルギーのイシューにずっと挑戦し続けていきたいという想いを込めての「チャレナジー」という社名ですので、資金を集めるという点での上場は目指しています。

神尾:今AMIが開発に取り組んでいる聴診器は市場としてはアメリカが一番大きいですし、ちゃんと物を売っていくリソースを作るためにも上場はひとつ必要かなと思っています。今は病院のお医者さんに使用してもらうものを作っていますけど、例えばオムロンの血圧計のように最終的には一家に一台心臓の音を見れるものを置いてもらうところも目指していきたいので、それでも資金は必要になるので上場は考えています。

永田:ありがとうございます。私も、もし十回やり直すことが必要でも、もう十回上場させます。それぐらい世界を変えるには上場は必要だと思っています。

50歳以上とか、定年前後の方がいらっしゃったりとか、そういう方々の採用についてはいかがでしょうか?

水本:今チャレナジーで財務経理をやっている方は公認会計士の出身でして、50歳を超えています。それはそれで良い重石になっていますね。大企業から見たらベンチャーって若者の集まりだと警戒されることがあるのですが、50歳の経験豊富な財務担当者を連れていくとかなり安心されます。そういう点では非常に重宝していますし、われわれ若手はアクセル役ですけど、彼はブレーキ役で冷静にリスクなども見てくれているので、すごく活躍してくださっています。

永田:確かに、研究者の研究の勢いやアイデアは若い人のほうが力を持っているところはありますけど、品質をきちんと保証したり、大量生産を安定的に行うのは経験がないと絶対にできないことなので、若い人ときちんと経験を持っている人の掛け算がリアルテックの方程式になりつつあるというのは感じています。ユーグレナも50歳以上の方がいますし、そういう経験者を積極的に採用しています。


これから転職する人へのメッセージ

永田:自分たちと一緒に働くうえではどういう方がキラキラしてもらえるか、自分達と働くことで将来にどういう幸せが待っているかということを皆様にお伝えいただければと思います。

神尾:AMIは医療ど真ん中のことをやっています。私たちが開発している聴診器を使って世界に今までになかったデータを集めて、そこから自動的に心臓の病気を見つけるというアプローチをしようとしています。これができたら本当に世界が変わると思います。世界が変わるというステップを一緒に見ていけるのが私たちの一番の魅力なので、そこにご共感いただけるのであればAMIはとても良い会社だと思います。

北畠:睡眠に関する事業って、寝具しかないんです。このいびつな業界構造をどう変えられるかという事業的な側面と、まだまだわかっていない脳の中の仕組みを明らかにしていくという科学的な側面の両方がニューロスペースにはあります。事業的にも科学的にもブレークスルーが起きる可能性もある領域で自分で一歩目を踏み出したい方、それを世の中に届けていきたい方はニューロスペースにすごく向いていると思います。

水本:チャレナジー自体は風力発電機の開発をしていますが、気候変動という社会課題に対して真正面から向き合えるという意味では希有な存在だと思います。日本から気候変動の問題に立ち向かっていく事業を展開するというグローバルな挑戦は、チャレナジーだからこそできる醍醐味だと思います。そして今、様々なボールを拾ってくれる人がチャレナジーには必要だと感じています。社員の7割ぐらいがエンジニアなのですが、研究に没頭するあまりに少し抜けてるところがあるので、エンジニアがうっかり落としたボールを周りを見て拾ってくれて、動ける人がリアルテックベンチャーのビジネスサイドでは活躍できるのではないかなと思います。非エンジニアとして働く僕から見た視点ですが、そういう方に来ていただければ嬉しいです。

永田:登りたい山に登れること、手触り感のある仕事をして自分事化できる楽しさ、その反面には当然責任や大変さも伴ってきますが、それがリアルテックベンチャーで働く楽しさだと会場の皆様に感じていただければ幸いです。今回のイベントを自分たちのこれからを考える上でのひとつのきっかけにしていただければと思います。皆様ありがとうございました。


三者三様のベンチャーで働くリアルをとことん深堀りした魅力的な内容が盛りだくさんの70分でした。「働き方」を誰もが自分事として考えなければならない状況が迫りつつある現在の日本において、「どの船を選ぶか、ではなくどの船に乗って学ぶか」という視点は自分達の今後を考える上で重要なポイントになってくるのではないでしょうか。

今目の前にある問題を「自分事化」する姿勢がこれからの未来を変える大きな力になる、それを生の熱量で感じられた素晴らしいパネルディスカッションでした。


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