REAL TECH FUND

リアルテックベンチャーへ送る 世界を変える時間軸

2020.03.18
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2020年2月17日から20日にかけての4日間、 福岡市のグランドハイアット福岡にて「Industry Co-Creation サミット FUKUOKA 2020」が開催された。

Industry Co-Creation (以下、ICC)サミットは、「ともに学び、ともに産業を創る」を目的とした年に2回開催されるビジネスカンファレンスである。多種多様なビジネスパーソンが一堂に集まり、朝から晩まで真剣に議論を繰り広げる。9回目の開催となった今回は、参加者約850名、登壇者約300名、セッション数約85と内容、数ともに国内最大規模のカンファレンスとなった。

中でも「カタパルト」は通常のパネルディスカッション型のセッションとは異なり、各ベンチャーの方が自分たちの事業をピッチする形式となっている。ICCのカタパルト優勝者には出資のオファーやメディア露出が増える傾向にあり、企業発展の大事なポイントにもなっている。

リアルテックファンドでは、2017年2月よりリアルテック領域に特化したベンチャーをメインとした「リアルテック・カタパルト」を実施。ICCと共にリアルテック領域の発展を目指している。

本記事ではサミット2日目に行われた「リアルテック・カタパルト」にてナビゲーターを務めた、リアルテックファンド代表/株式会社ユーグレナ取締役副社長COOの永田のスピーチを参考に「リアルテックベンチャーの時間軸」についてお送りする。


永田 暁彦(ながた あきひこ)

リアルテックファンド 代表
株式会社ユーグレナ 取締役副社長COO

独立系プライベートエクイティファンド出身。2008年に株式会社ユーグレナの取締役に就任。ユーグレナ社においては、未上場時より事業戦略立案、M&A、資金調達、資本提携、広報・IR、管理部門を担当し、現在は取締役副社長COOとして全事業を管轄。技術を支える戦略、ファイナンスに精通。リアルテックファンドでは、代表としてファンド運営全般を統括する。


「普段はリアルテックに触れることのない方向けのプレゼンテーションですが、今日は登壇される皆さんに対してお話ししたいことがあります。」

冒頭、永田のこの言葉でプレゼンテーションが始まった。過去のプレゼンテーションではリアルテックでの好奇心の重要性、素晴らしさをいかに参加者の方に届けるかというポイントがメインであった。しかし今回のプレゼンテーションに込めたメッセージは、実際にリアルテックベンチャーで働く人へ向けられたもの。永田はユーグレナ社の事象と共に、その想いを語った。


ユーグレナ社の歴史

– 東大発ベンチャーユーグレナ社の立ち上げ

リアルテックベンチャーとして事業を行うユーグレナ社。上場後には年間300もの研究開発型ベンチャーからそのノウハウを学びたいと相談を受けた。リアルテックファンドは、こうした経緯から研究開発型ベンチャー成功の再現性を高めることを目的に設立された。

とある一部屋の片隅。ユーグレナ社の立ち上げ当時、ここで研究を行っていた。
微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の秘める可能性を強く感じる中で、その可能性が具体的に社会実装されなければ意味がないと株式会社ユーグレナを立ち上げた。何もないところからの3人でのスタート。あるのは夢と情熱だけだった。

2005年、世界で初めて微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養に成功。しかし世間からのユーグレナに対する理解を得るのには時間がかかった。先駆者のいないマーケットへの挑戦に、冷たい声を浴びせる人たちも少なくない。実際に大量培養成功後、500の企業に営業を行うも全て断られることもあった。

それでも、諦めない姿勢が501社目に商談を行った伊藤忠商事からの出資に結びつく。大企業との取り引きというレピュテーションを得たユーグレナ社は、ここから一気に引き合いを増やしていく。

– 東大出身企業として初の東証一部上場、フライト実現へ

コアテクノロジーであるユーグレナの大量培養技術を中心とした、食品や化粧品、燃料事業等の様々な展開を行ったユーグレナ社。
フェーズに応じたマーケットへの事業戦略により、その売り上げを着々と伸ばしていく。

2005年の大量培養の成功直後、ほとんどなかった売り上げは7年後に16億円、またそこから7年でさらに140億円へと成長。
2012年には東証マザーズへ上場を果たし、2014年には東京大学発の研究開発型企業として、史上初の東証一部上場企業へと成長した。

2018年には、約64億円をかけ横浜市鶴見区にバイオジェット・ディーゼル製造実証プラントを建設。
そしてこのプラントに導入しているバイオジェット燃料の製造技術が、2020年1月に国際規格ASTMの新規格を取得。国産のバイオジェット燃料でのフライトが実現可能になった。

ここまで費やした時間は15年。会社を設立後、大量培養技術を用いて15年かけようやくこのラインにたどり着いた。


リアルテック企業が世界を変えるための時間軸

『12年 + 5年 = 』

永田はこの数式をスライドに写す。
12年。これは、ユーグレナ社の代表である出雲が様々な反対を押し切り、ユーグレナでバイオ燃料を作るために費やした年月である。取締役やVCなどを説得し、研究を継続。12年経ちようやく燃料の開発を成功させた。
5年。これはバイオ燃料の大量生産に必要な、商業プラント建設にかかる時間である。2020年、バイオ燃料で国際規格を取得したユーグレナ社は、バイオ燃料が当たり前に使われる社会を目指し、商業プラント建設に踏み切る。

このように12年、5年とバイオ燃料の生産にのべ17年をかける。
バイオ燃料の研究開発に着手してから、ユーグレナ社は約100億円もの研究開発費を投資し続けてきた。
業績が伸びず、様々な方達からの厳しい声も届いていた。研究開発を止めれば黒字化することも可能であったが、それでもユーグレナ社は挑戦し続けた。
食品や化粧品事業などの収益が、研究開発に必要なキャッシュフローを支えた。
そして、こののべ17年をかけた先に導き出されるのが、ジェット燃料のマーケットシェアの獲得だ。

温室効果ガスの排出を削減し、環境負荷低減を実現。未来へつながる国産のバイオ燃料の生産というのはこのような時間軸を辿る。
この時間軸、これこそがリアルテックの時間軸なのだ。


リアルテックが目指すもの

リアルテック、地球と人類の課題解決に資する研究開発型の革新的テクノロジー。永田はその意義をディープイシューの解決だと捉えている。この世の中に存在する、より深い課題、人類や地球の根本的な課題を解決することこそが、リアルテック企業に求められていることであり、定めであると。
ものを作り、産業を変え、世の中の課題を解決するには時間もお金も必要になる。目先の利益や短期的な投資ではなかなか解決できないものだ。この間、リアルテックベンチャーには様々な障壁も存在する。これらはユーグレナ社も実際に体験してきた。
だからこそ、リアルテックファンドが存在する。ユーグレナ社を通して感じてきたこと、苦しんできたことを次の世代のリアルテックベンチャーに経験させない。そしてよりブーストさせる役割があるからこそ。
リアルテック企業だからこその時間軸。それは解決すべく課題の大きさであり、求められている社会インパクトの大きさである。

地球や人類の課題解決を加速させるエコシステムの形成。リアルテックファンドはこの最大の目的に向け、共に挑戦する。


リアルテックファンドでは共に地球と人類の課題解決に挑む熱い仲間を募集しています。
課題解決の為、出資をご希望されるリアルテックベンチャーの方、リアルテックファンドと共にベンチャー支援を行う企業の方、またリアルテックベンチャーへの転職をご希望される方など、少しでも興味を持っていただきましたら、お気軽に下記コンタクトページまでご一報ください。皆さまからのご連絡をお待ちしております。

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